脳神経内科
脳や神経の病気の特徴として、CTやMRIなどの画像検査をすれば診断がつくというのはむしろ一部のみで、多くの病気は詳しく症状をお聞きして、特殊な診察器具を用いて十分に診察を行うことによって診断されます。
脳卒中
脳の血管が破れるか詰まるかして、脳に血液が届かなくなり、脳の神経細胞が障害される病気です。原因によって、1)脳梗塞(脳の血管が詰まる)、2)脳出血(血管が破れる)、3)くも膜下出血(動脈瘤が破れる)、4)一過性脳虚血発作(TIA)(脳梗塞の症状が短時間で消失する)の4つに分類されます。この中でも脳梗塞は、より早期(発症して4.5時間以内)に血の塊(血栓)を溶かす治療(血栓溶解療法)を行えば後遺症が軽くなることがありますし、4.5時間を過ぎても、カテーテルで血栓を吸引、回収する治療(脳血管内血栓回収療法)が行える場合があるので、脳卒中治療の専門機関にすぐに受診することが重要です。
脳卒中の症状
- 片方の手足・顔半分の麻痺・しびれが起こる (手足のみ、顔のみの場合もあります)
- 呂律が回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない
- 力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする
- 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける
- 片方の目にカーテンがかかったように、突然一時的に見えなくなる
- 経験したことのない激しい頭痛がする
1. 脳梗塞
脳卒中の過半を占める病型です。脳の血管が細くなったり、血管に血栓が詰まったりして、脳に酸素や栄養が送られなくなるために、脳の細胞が障害されます。
脳梗塞は詰まる血管の太さやその詰まり方によって3つのタイプ、「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓」に分けられます。症状やその程度は障害を受けた脳の場所と範囲によって異なります。
① ラクナ梗塞
脳に入った太い血管は、次第に細い血管へと枝分かれしていきます。この細かい血管が狭くなり、詰まるのがラクナ梗塞です。日本人に最も多いタイプの脳梗塞で、主に高血圧によって起こります。② アテローム血栓性脳梗塞
動脈硬化(アテローム硬化)で狭くなった太い血管に血栓ができ、血管が詰まるタイプの脳梗塞です。動脈硬化を発症・進展させる高血圧症、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病など生活習慣病が主因です。③ 心原性脳塞栓症
心臓にできた血栓が血流に乗って脳まで運ばれ、脳の太い血管を詰まらせるものです。原因として最も多いのは、不整脈の1つである心房細動です。3つの病型のなかでは最も急激に症状が現れ、重症であることが多いです。
2. 脳出血
脳の血管が破れ、あふれた血液によって周囲の脳細胞が圧迫さたり、脳の内部の圧力(脳圧)が高くなるために出血箇所から離れた部分の脳にも血流低下などの影響が出ることで、神経細胞が障害される病気です。細い血管(細小動脈)が、主に高血圧に由来する動脈硬化で痛み、破綻して起こります。
3. くも膜下出血
脳の表面を走る主幹脳動脈に、血管の一部が瘤状に腫れた脳動脈瘤ができると、それが破裂し、脳の表面を覆うくも膜という薄い膜の内側に出血します。そのため、他の脳卒中と違い、今までに経験したことのない激しい頭痛が起こります。くも膜下出血は脳卒中の中では死亡率が高く、重症な病態です。
4. 一過性脳虚血発作
脳梗塞と同じ機序で起こった神経症状が24時間以内に消失する状態をいいます。ほとんどの場合は1時間以内に症状が消失しますし、数分間の発作で済んでしまう場合も少なくありません。一過性脳虚血発作は脳梗塞の前触れ発作として重要ですが、治療を行わず放置すると脳梗塞を引き起こす可能性が高いです。脳梗塞を起こす前に適切な治療を開始すると、脳梗塞を予防できる可能性が高まります。
脳卒中の予防 脳卒中の5大危険因子は高血圧、糖尿病、不整脈(心房細動)、喫煙、脂質異常症(高脂血症)です。その他、男性、高齢者、肥満、過度の飲酒、運動不足などが脳卒中の危険因子としてあげられます。これらの危険因子を日頃からしっかりコントロールすることが重要です。 脳卒中予防十か条(日本脳卒中協会)- 手始めに 高血圧から 治しましょう
- 糖尿病 放っておいたら 悔い残る
- 不整脈 見つかり次第 すぐ受診
- 予防には たばこを止める 意志を持て
- アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
- 高すぎる コレステロールも 見逃すな
- お食事の 塩分・脂肪 控えめに
- 体力に 合った運動 続けよう
- 万病の 引き金になる 太りすぎ
- 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ
てんかん
てんかんは脳内の神経細胞の過剰な電気的興奮に伴って、意識障害やけいれんなどを発作的に起こす慢性的な脳の病気です。この病気は紀元前から知られており、かつては憑き物にとりつかれて生じる病気と信じられていたため、いまだに多くの誤解や偏見があります。過剰興奮が脳の様々な場所に起こるため、その場所に応じて症状も様々なものとなります。
たとえば、いわゆる「けいれん」と呼ばれる手足をガクガクと一定のリズムで曲げ延ばしする間代発作や、手足が突っ張り体を硬くする強直発作、あるいは非常に短時間の意識消失が突然起こる欠神発作、全身や手足が一瞬ピクッとするミオクロニー発作、感覚や感情の変化、特殊な行動などいろいろな症状があらわれる複雑部分発作など、その症状は極めて多彩です。
ただし、発作の症状は患者さんごとにほぼ一定で、同じ発作が繰り返し起こることが、てんかんの特徴です。また、発作を起こしている最中は脳の中の電流が乱れているため、脳波を測定すると異常な波(棘波・きょくは)があらわれ、てんかんの診断に用いられます。
原因疾患が見つからない特発性(一次性)のてんかんと、脳梗塞・脳出血、脳腫瘍、脳炎など脳の病変が原因となっている症候性(二次性)のてんかんがあり、症候性の場合はMRIなどで異常がみつかります。しかし、脳波やMRIで明らかな異常が見つからない場合も多く、診断に難渋する場合も少なくありません。そのため、てんかんの診断で最も大切なのは発作を知ることです。発作症状,発作の起きやすい時間帯・状況、発作頻度など,患者さんだけでなく発作を目撃した方からも情報を聴取する必要があります。
なお,カメラ付き携帯電話・スマートフォンが普及しているので、発作がみられた際に発作の様子を撮影していただくことをお願いしています。発作の様子を撮影した動画は診断する上で非常に役立ちます。脳波やMRIで診断根拠が得られなくても、患者さんやご家族から聴いた発作に関する情報に基づいて、てんかんと診断されることもあります。 発作で意識が消失することは、患者さんにとって社会生活上最も大きな障害となる症状で、事故にあう危険はもちろん、就労や就学、あるいは自動車運転などに際し大きなハンディキャップとなります。
従っててんかんの治療は、発作をいかに消失させるか、あるいは意識消失を伴う発作の回数をいかに減らせるかが主要な目標となります。具体的な治療方法としては、抗てんかん薬の調整が主ですが、自己判断で薬を中断しないことが、発作を防ぐうえで重要です。また、中には外科治療で完治を期待できる場合もあり、早期に適切な診断を行うことも大切なことです。
パーキンソン病
パーキンソン病は大脳の下にある中脳の黒質ドパミン神経細胞が減少して、体が動きにくくなったり、ふるえが起こる病気です。パーキンソン病の4徴とは、静止時振戦、筋肉が固くなる筋固縮、動作が鈍くなる無動または寡動、転びやすくなる姿勢保持障害を言います。これらの運動症状のほかには、便秘や頻尿、発汗、易疲労性(疲れやすいこと)、嗅覚の低下、起立性低血圧(立ちくらみ)、気分が晴れない(うつ)、興味が薄れたり意欲が低下する(アパシー)などの症状も起こることがあります。
- 【静止時振戦】
手、足、あごなどがふるえます。
このふるえは、静止時にふるえ、何aをするために手を動かすとふるえは止まります。 - 【筋固縮】
筋肉が固くなります。パーキンソン病患者の手足を曲げるとガクガクとした抵抗を感じます。
- 【無動】
全身の動作が鈍くなります。動き出すのに時間がかかり、ゆっくりとしか動けません。
- 【姿勢保持障害】
体のバランスが悪くなり、倒れやすくなります。座ったり、立ったり、姿勢を保ったりすることが困難になります。
ほとんどが遺伝歴のない孤発型です。加齢が重要な危険因子ですが、5-10%に認められる遺伝性パーキンソン病もあり、その一部は20歳よりも若くして発症するものもあります。中高年以上で発症すると思われがちですが、若年発症のパーキンソン病も存在します。10万人あたり100-150人前後ですが、60歳を越えるとその罹患率が増加します。
症状や経過からパーキンソン病を疑ったら、MIBG心筋シンチやダットスキャンといった核医学検査や頭部MRI検査などを行い診断します。検査ができない場合は、ドパミン補充療法にて症状が改善するかどうかを確認する場合もあります。 治療の基本は薬物療法です。ドパミン神経細胞が減少するため少なくなったドパミンを補います。
ドパミン自体を飲んでも脳へは移行しないため、ドパミン前駆物質のL-dopa(レボドパ)を服用します。他にもドパミン作動薬、MAO-B阻害剤、抗コリン剤、アデノシンA2a受容体拮抗剤、COMT阻害剤、ゾニサミド、塩酸アマンタジン、ドロキシドパがあります。早期は比較的反応も良好で十分コントロール出来ますが、進行期になるとウェアリングオフ(L-dopaが効いている時間が短くなる現象で、1日の中で症状がよくなる時間帯や悪くなる時間帯が出てきます)、ジスキネジア(薬が効きすぎて手足が勝手に動いてしまう現象です)が問題となります。また、内服で症状のコントロールが困難な場合や、副作用のため必要な量を飲むことができない場合には、手術(脳深部刺激療法)を行うことがあります。
日常生活においては、運動療法、特にストレッチは姿勢の維持に役立ちます。パーキンソン病では前かがみや斜め横になる姿勢が起こりやすくなります。自分ではまっすぐと感じる姿勢が、実際には斜めになっていることが少なくありませんので、できるだけ鏡を見て姿勢を良くしましょう。自分では大丈夫と思っていても転倒が起こりやすいので、躓くようなものは片付け早めに手すりを付けます。 パーキンソン病は一般医より専門家がフォローする方が、生命予後が良いというデータもありますので、診断が疑われるときは早めに脳神経内科を受診しましょう。
認知症
認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」をいいます。つまり、後天的原因により生じる知能の障害である点で、知的障害(精神遅滞)とは異なります。認知症の原因としては一番多いのはアルツハイマー病で認知症の6割以上を占めます。それに次いで多いのがレビー小体型認知症、血管性認知症といわれています。
アルツハイマー病
アルツハイマー病は、脳にアミロイドβ蛋白というタンパク質がたまり、さらにタウというタンパク質がたまって、神経細胞が減少し脳が萎縮していきます。特に、海馬とよばれる記憶の中枢から脳の萎縮が始まって拡がっていきます。そのため、症状は記憶の障害(もの忘れ)から始まり、徐々に認知機能全体が低下してきます。最初は、もの忘れ(「少し前のことが思い出せない」)が目立つものの日常生活にはほぼ支障がありません(アルツハイマー病による軽度認知障害)。次第に生活にも支障がでてきて認知症となり(アルツハイマー病による認知症あるいはアルツハイマー型認知症)、認知症は軽度、中等度、高度と徐々に進んでいきます。軽度の認知症ではもの忘れに加えて日付がわからなくなり、中等度になると自分のいる場所がわからなくなります。妄想や徘徊などの症状が問題になることもあります。さらに高度(重度)になると家族など親しい人の顔もわからなくなり、最終的には寝たきりになります。
アルツハイマー病の診断では、病気の経過や症状の特徴が重要です。補助検査として脳の画像 (MRI,、CT、 SPECT、 PET) や脳脊髄液などの検査を行うことで、高い確実度でアルツハイマー病を診断することが可能です。 アルツハイマー病の治療は、薬物療法と非薬物療法があります。薬物療法は脳の神経細胞の間の伝達をよくすることによって認知症の症状を改善し病気の進行を遅らせますが、病気そのものの進行を止めることはできません。そのため、脳トレやゲームなどのリハビリテーションや、料理や洗濯などの生活リハビリ、園芸療法、音楽療法、回想法などの非薬物療法を併用することにより、生活の質を上げることが期待されます。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症はレビー小体という構造物が神経細胞にたまって、認知症などのさまざまな症状を示す病気です。認知症ですが、アルツハイマー病とは異なり、もの忘れが目立たないこともあります。中核的な特徴としては、①認知機能が変動すること(日時によって症状がよくなったり悪くなったりします)、②幻視(ありありとした具体的な幻視を繰り返します)、③パーキンソン症状(動作がゆっくりになります)、④睡眠時の行動の異常(悪夢をみて暴れます)があります。
さらに、自律神経の症状(立ち眩みなど)、うつなどの精神症状などもみられます。 レビー小体型認知症の診断では、病気の経過や症状の特徴が重要です。補助検査として脳の画像 (MRI、CT、SPECT、PET) やダットスキャン、MIBG心筋シンチや睡眠時の脳波などの検査を行うことで、確実度の高い診断ができます。 現時点では根本的な治療法はなく、認知症症状、パーキンソン症状、睡眠障害など、それぞれの症状を軽減させる治療法を適切に組み合わせて治療します。認知症の症状に対する薬としては、アルツハイマー病でも使われるドネペジルという薬を使用します。
血管性認知症
血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害の結果、認知症になった状態を指します。典型的な場合、脳血管障害が起こるたびに認知機能が階段状に低下していきます。症状は脳血管障害の場所や拡がりによって、認知症以外に、手足の麻痺、言語の障害、嚥下(飲み込み)の障害、失禁など、さまざまな症状がみられます。
頭部の画像検査(CT、MRI、脳血流SPECTなど)で脳梗塞や脳出血などを検出し、脳血管障害が認知症の原因と判断される場合、血管性認知症と診断します。脳血管障害が原因となるため、治療は高血圧などの生活習慣病をコントロールすること、脳梗塞に対しては抗血小板剤(血をサラサラにする薬)を使うなどして、脳血管障害の再発予防を行います。
頭痛・めまい・しびれ
頭痛
頭痛とは、頭部の一部あるいは全体の痛みの総称です。後頭部と首(後頸部)の境界、眼の奥の痛みも頭痛として扱います。頭痛が起こると脳の病気を心配される方が多くいらっしゃいますが、脳そのものには痛みを感じる神経(痛覚神経)はありません。ですから、頭痛以外の症状を伴わない場合は、脳の病気の可能性は低いです。
ただし、脳を覆っている膜(髄膜)や頭蓋内血管には痛覚神経がありますので、急におこった頭痛で、これまでに経験がないひどい頭痛、突発して短時間でピークに達するような頭痛、熱がある、手足の麻痺やしびれを伴うような場合には、髄膜炎、脳炎、脳動脈解離、くも膜下出血などの脳卒中などの脳の病気の症状として出てくる頭痛の可能性がありますので、至急受診して正確な診断を受けるほうがよいでしょう。
以前から同じような頭痛を繰り返している場合は慢性頭痛で生命の危険はないことが大部分です。片頭痛や緊張型頭痛が代表的です。最近はよい治療法もありますので、脳神経内科、脳神経外科、頭痛外来などを受診されるとよいでしょう。慢性頭痛でも、頭痛が経過と伴に悪化してくるような場合には脳腫瘍や慢性硬膜下血腫などの可能性もあります。
慢性頭痛症の中には難治性のものもあります。必ずしもすべての頭痛に対して完全に痛みを取れるような治療法があるわけではありません。使用可能な治療薬、治療法を駆使して、頭痛による日常生活・仕事・家事・学業などへの悪影響を最小限にする努力を主治医と患者さん御自身が共同作業で進めていく必要があります。
めまい
めまいは、目が回るようなくらくらとした感覚の総称です。実際には幅広い症状が含まれており、自分やまわりがぐるぐる回る、ふわふわしている、気が遠くなりそうな感じ、眼前暗黒感、物が二重に見えるなどが含まれます。
めまいの原因として、内耳性めまい(三半規管の障害によるめまい、前庭機能障害)が最も多く見られますが、中には脳卒中や心臓疾患などによる命にかかわる場合もあります。また薬剤性、高血圧症、脱水症、不整脈、起立性低血圧症、熱中症、各種神経難病、低血糖症、貧血、外傷後頸部症候群、頸性めまい、鼻性めまい、心身のストレス、疲労などもめまいの原因になります。
一般的には、ぐるぐる回るめまいは内耳性めまいのことが多いですが、血圧が普段より上昇している、突然片側の手足に力が入らなくなった、片側の顔の動きが悪くなった、呂律が回らなくなった、物が二重に見える、顔や手足の感覚がにぶくなった、耳が聞こえにくくなった、まっすぐ歩けなくなったなどの症状がみられるときには、脳卒中の可能性がありますのですぐに病院を受診しましょう。
しびれ
しびれは、感覚の経路 (感覚受容器から末梢神経、脊髄、大脳へ至る感覚の伝導路)のいずれかに障害がおきると出現します。しかし、日常生活の中では、しびれという言葉は、いろいろな意味で使われています。たとえば、「触っても感覚がにぶい」、「冷たさや熱さがが感じにくい」、「痛みを感じにくい」などの感覚鈍麻 (感覚の低下) を意味することもあれば、「何もしなくてもジンジンする、ビリビリする」、「針でさされたような感じ」、「灼けつく様な感じ」などの異常感覚を意味することもあります。
また、「手足に力が入りにくい」、「動きが悪い」などの運動麻痺 (脱力) をしびれとして表現することもあります。 しびれで病院を受診される患者さんの多くが心配している病気の一つとして、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害があります。通常、脳血管障害によるしびれは、急に出現した片側性の症状であることが多いです。感覚障害に筋力低下を伴うことが多いのですが、感覚障害が唯一の症状であることもあります。
口の周りと片側の手がしびれる場合なども脳血管障害の可能性があります。また、脊椎に異常があって、骨が変形してできた骨の棘(骨棘)や脊柱管に飛び出た椎間板が脊髄や脊髄から枝分かれした神経根を圧迫・刺激することで手足のしびれ、痛み、脱力を引き起こします。
手足の末梢神経障害は、一つの末梢神経にのみ障害がみられる場合を単神経障害、非対称性に複数の末梢神経に障害がみられる場合を多発単神経障害、左右対称性でいわゆる手袋靴下型に障害がみられる場合を多発神経障害といいます。手根管症候群や橈骨神経麻痺などの絞扼に伴うもの、血管炎や膠原病などの炎症が関連するもの、ギラン・バレー症候群などの免疫が関連するもの、糖尿病やビタミン欠乏などの代謝性疾患に伴うものなど、末梢神経の障害だけでもしびれの原因は実に様々です。
しびれは、様々な原因で引き起こされます。内科的な治療で済む場合もありますが、原因によっては整形外科や脳神経外科などでの手術が必要になる場合もときにあります。適切な治療を行うためには、原因の特定が最も重要と考えられます。また、しびれには、重大な病気が隠れていることもありますので、安易に放置しないで、まずは脳神経内科を受診しましょう。
神経免疫疾患
免疫とは、外来の病原体などに対して自分を守るためのシステムです。しかし何らかの原因で、このシステムが自分自身を標的として攻撃する場合があり、「自己免疫」と呼ばれます。脳・脊髄・末梢神経(神経筋接合部を含む)に対する自己免疫による病気が免疫性神経疾患です。代表的な疾患だけでも、多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎(NMO)、重症筋無力症(MG)、ギラン・バレー症候群(GBS)、フィッシャー症候群(MFS)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、多巣性運動ニューロパチー(MMN)、神経サルコイドーシス、神経ベーチェット病など、多くの疾患があるのが特徴です。
これらには、急性発症で重症化するものの急性期を乗り切れば予後は良い、という疾患もあれば、慢性進行性で徐々に身体の自由を奪っていくタイプの疾患もあります。そのため、早期に適切な診断、治療を行うことが重要です。 治療については、急性期の病勢コントロールにはステロイドパルス療法、免疫グロブリン大量療法、血液浄化療法といった大掛かりな治療を必要に応じて施行します。
慢性期の病勢コントロールや寛解期の再発予防には経口ステロイド等の内服の免疫抑制剤を用います。また、MSでは、自己注射薬としてインターフェロンβ(1b:ベタフェロン®、1a:アボネックス®)、やグラチラマー酢酸塩(コパキソン®)、1ヶ月に1回の点滴薬としてナタリズマブ(タイサブリ®)、内服薬としてフィンゴリモド(イムセラ®/ジレニア®)、フマル酸ジメチル(テクフィデラ®)、MGでは内服薬としてタクロリムス、シクロスポリン、2週間に1回の点滴薬としてエクリズマブ(ソリリス®)、CIDP/MMNでは、3週間に1回の点滴薬としてγグロブリン(献血グロベニン®I/献血ヴェノグロブリン®IH)、1週間に1回の自己注射薬としてγグロブリン(ハイゼントラ®)などによる再発抑制、維持療法が確立されており、入院せずに脳神経内科の外来でも可能な点滴薬での病勢コントロールが可能となっています。
ACCESS
〒231-0023
神奈川県横浜市中区山下町30-1
パークコート山下公園302号
くまがい
内科・脳神経内科クリニック
みなとみらい線「元町・中華街」駅徒歩1分
JR京浜東北根岸線「石川町」駅徒歩10分
バス「山下公園前」下車徒歩2分
「中華街入口」下車徒歩1分
診療時間
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
9:00-12:30 | ● | ● | ‐ | ● | ● | ‐ | ● |
15:00-18:30 | ● | ● | ‐ | ● | ● | ‐ | ‐ |